ここに、ひとつの物語があります。
姓名判断の師匠から私へと語り継がれ、私の心を震わせ、
私がこの道に進むよう大きな力で導いてくれた物語。
この奇跡の物語を、今日、私のサイトを訪れてくれたあなたにも知ってほしい。
名前という、すべての人間が持っている当たり前のものにこそ、
運命を変える力が確かに宿っていることを伝えたい。
そして、自分自身が姓名判断士として生きていく上で、
この物語を若い世代へと引き継いでいきたい。
そんな想いで、今日はこの奇跡の物語を書いていこうと思います。
読んで頂けたら嬉しく思います。
命を授かる
今から20年ほど前のお話です。
北関東のある地方都市に、とても仲の良い若い夫婦がいました。
夫婦としての愛情はもちろん、親友としての友情や、
また、きょうだいのような揺るぎない信頼が、
ふたりをとても強く結びつけていました。
人生のパートナーとしてこの人以上の人はいないとお互いが思い、
とても尊敬し合い愛し合っている。
そんな素敵な夫婦でした。
そんなふたりが結婚して5年。
ずっと心待ちにしていた赤ちゃんが、妻の身体に宿ってくれました。
ふたりはもちろん大喜び。
赤ちゃんの顔を思い描いたり、性別はどっちだろうかと想像したり、
赤ちゃんがどうか無事に生まれてきてくれますようにと願いながら、
出産までの10ヶ月をとても幸せに過ごしました。
そしていよいよ出産の日。
ふたりの愛の結晶である、かわいい女の子が生まれました。
夫婦は涙を流して、赤ちゃんの誕生を喜びました。
けれども次の瞬間、医師の言葉によってふたりの幸せは打ち砕かれます。
衝撃の宣告
赤ちゃんは、難病を患っていました。
何万人に1人いるかいないかという、とても珍しい先天性の難病だったのです。
医師は言いました。
「娘さんの病気は、世界でも非常に珍しい難病です。残念ですが、現在の医学では有効な治療法が確立されておらず、ICUで看護を続けたとしても果たして何週間、いや何日間、生き延びることが出来るか私にもわかりません」
集中治療室のベッドの上のカプセルの中に小さな身体を横たえ、
人工呼吸器に繋がれている赤ちゃんを見つめ、
何もしてあげられない自分たちの無力さに夫婦は嘆き悲しみました。
この子の誕生の瞬間には間違いなく世界で一番幸せなカップルだった自分たちが、
いまでは世界で一番不幸せなカップルだ。
人生とは、なんと辛く苦しいものだろう。
この世に神様なんていないんじゃないか。
夫婦は絶望の中で途方に暮れ、眠れない夜をいくつも過ごしました。
こんなに辛いならあの子と一緒に三人で死んでしまおう。
そう自分たちを追い詰めた夜もありました。
赤ちゃんが生まれてから、もうすぐ2週間。
悲しみと絶望に包まれていたふたりは、まだ赤ちゃんの名前も決めていませんでした。
どうしたらいいんだろう。
二人は悩みました。
医師が言う通り、あと何日生きられるか分からないとしても、
この子に素敵な名前をつけてあげなくちゃいけない。
それが親として、この子に贈ることができる一番最初の贈り物なんじゃないのか。
たとえそれが、最初で最後の贈り物になってしまうとしても。
夫婦は立ち上がりました。
私たちは無力かもしれないけれど、せめてこの子に良い名前をつけてあげたい。
その一心で、ふたりは姓名判断の先生を探しはじめます。
横山健司との出会い
あちらこちらを巡りに巡り、やっとたどり着いたのが、
今これを書いている私・飛鳥宗佑の師匠のそのまた師匠である、
横山健司大師匠のもとでした。
横山は姓名判断の大家で、仙人のような風貌の老人でした。
昔から、横山が名付けをした赤ちゃんはみんな健やかに育つと評判だったのです。
そのうえ病気をもって生まれてきた赤ちゃんを名付けによって救ってきたという伝説まで、人々の間でまことしやかに語られていることをふたりは知って驚きました。
そんな、まさか。
医師でも治せない難病の子供を、姓名判断士に救うことができるなんて。
でも、もし本当にこの子を救うことができるなら。
病気は治らなくても、ほんの少しでも長く生きられるなら。
ふたりは半信半疑ながらも、わらにもすがる思いで横山のもとに駆け込みました。
この横山は元来、かなりの頑固者で、自分の気が向かなければ依頼を受けつけません。
つまり、名付けを頼みに来た人の生きてきた道や、人としてのあり方、
子供への想いなどに少しでも利己的なものが見えれば断ってしまうのです。
「俺が姓名判断をやっているのは金のためではない。
人間として駄目な奴からは、たとえ億万の金を積まれても一切の仕事を受けない」。
これが横山の口癖でした。
横山は夫婦の話を黙って聞いた。
子供に成功してほしいとかお金持ちになってほしいとか、
そんなことはどうだっていい。
ただ、この子が生きていてくれるだけでいい。
この子の命を輝かせてやりたい。
夫婦は一生懸命、どんなに娘を愛しているかを訴えました。
ふたりの純粋な気持ちを強く感じた横山は、
赤ちゃんのために心をこめて名前を考えた。
そしてたったひとこと、ふたりに言ったのです。
「今すぐ病院へ行って、この子の名前を呼んであげなさい」
夫婦は横山に言われた通り、わけも分からぬまま病院へ急ぎました。
そして赤ちゃんのそばで、今つけてもらったばかりの名前を呼んだのです。
奇跡が起きる
すると、どうでしょう。
愛しい小さな娘は突然、ぱっと目を開き、一瞬ふっとこちらを見たように見えました。
それから起こったことのすべては、まさに「奇跡」と呼ぶ他ありません。
なんと赤ちゃんはみるみる元気になり、健やかに成長することができたのですから。
私は、これを「奇跡の名前の物語」と呼んでいます。
そして、この横山師の姓名判断術は私の師匠へと継承され、
師匠から私へと受け継がれました。
姓名判断士として生きていく道の上で、
私は何度も何度も繰り返し、この物語を思い出しています。
そしてそのたびに、私に与えられたこの素晴らしい使命の道を、
たくさんの愛をもって歩いていきたいと誓いを新たにするのです。
※横山健司は仮名です。